今回は、イタリアの菓子パンであるパネトーネ。
クリスマスシーズンに登場しますが、
このブログのテーマである発酵という観点からみると、
とても面白い事がわかりました。
クリスマスというと、その時期ならではの特別な食べ物が出てきます。
カナダは、移民の国なので、
色々な国のご当地のクリスマス時期用の食べ物が見られます。
中でも比較的良く知られていて、巷で売れ出すもののひとつがパネトーネ。
ドライフルーツが入った菓子パンですね。
カタチが独特なので、すぐにわかります。
あの円柱形のパンは、見ただけで食べたくなってくる(笑)
イタリアンのベーカリーやスーパーなどに行くと、
わずかではありますが、通年で売っているところもあります。
他の食べ物同様、パネトーネもお店など作り手によって、
独自のアレンジをされていたりするので、
それも楽しみの一つ。
ところで、冒頭でも書きましたが、このパネトーネ、
発酵の観点から見ると、とても珍しい発酵モノです。
イタリア北部で、伝統的に受け継がれているパン作りの基となる、
パネトーネ種という生地種から作ります。
このパネトーネ種には、独自の酵母と、この種生地からしか見つかっていない、
とても珍しい乳酸菌が含まれています。
酵母と乳酸菌が共存しているのは非常に珍しく、
世界的に見ても、他には日本酒くらい。
このパネトーネ種の乳酸菌は、小麦の麦芽糖を餌にして繁殖する事で、
同じく糖を餌とする酵母とうまく共存しています。
そしてじっくりと時間をかけて長時間発酵します。
結果として、パネトーネらしい独特の風味や口どけの良さが生まれます。
もともと、パネトーネ自体にはそんなに興味はなかったけれど、
こうやって見てみると、歴史もあってとても面白いモノだという事がわかりますね。
とはいえ、日本の多くのベーカリーでは、
普通のパン生地に味付けをして形だけ似せた、
なんちゃってパネトーネがほとんどだとは思いますが。
もし本物にありつけたら、是非独特の香りを味わってください。
いやあ、発酵って本当に面白いですね!